こんにちは、「転職案内人」です。現役の薬剤師で、いまは係長として5店舗を管轄しています。年収は約700万円。世間的には「悪くない条件」に見えるかもしれません。
でも、私はずっとこう感じてきました。
「有給は法律で決まった権利のはずなのに、なんでこんなに取れないんだ?」
週6勤務はざら、ひどい時は12連勤。年間の公休すら、決められた日数より10日近く少ない年がある。そして極めつけは、上司からの一本の電話。
「ごめんな、有給取らせてあげられなくて」
——いや、お前がヘルプを出さなかったからだろ。心の中でそう叫んだことが、何度あったかわかりません。
この記事では、私の実体験をもとに、薬剤師が有給を取れない・週6で働かされる・12連勤になる「本当の理由」を、現場の構造から解き明かしていきます。同じ思いを抱えているあなたに、「あなたが悪いんじゃない」と伝えたくて書いています。
数字で見る現場のリアル|週6・12連勤は「異常」なのに「日常」
私の勤務するエリアは都市部。自分の店舗は処方箋がだいたい1日150枚前後で、本来であれば薬剤師5〜6名体制で回す規模感です。
ところが、ある時期から人員不足が常態化しました。産休、退職、異動、休職——理由はさまざまですが、要は「人が足りないのに補充されない」状態が続いたのです。
その間、私の働き方はこうなりました。
- 週6勤務が当たり前
- 月によっては休みが月4日以下
- 最長で12連勤
- 年間公休に対してマイナス10日近く
- もちろん有給は1日も取れない月が続く
労働基準法では、年5日の有給取得は会社側の義務です。にもかかわらず、現場では「取りたくても取れない」が普通に起きている。これが薬剤師業界、特にチェーン薬局・ドラッグストアの「うっすらブラックな現実」だと、私は思います。
取れない理由①|人員配置の硬直性(上司がヘルプを出さない構造)
私が一番イラついたのは、ここでした。
自店舗で誰か休む、辞める、産休に入る——そうなった時、当然ながら上司(エリアマネージャーや本部)に「ヘルプください」と相談します。しかし、返ってくる答えはほぼ決まっています。
「いや、いま他に出せる人いないんだよね」
「もう少し今のメンバーで頑張って」
「来月には何とかするから」
——その「来月」は、永遠に来ません。
本来、複数店舗を管轄する管理職の役割は、店舗間の人員バランスを取って、どこか1店舗に過剰な負荷がかからないように調整することのはずです。ところが現実は、声の大きい店舗、文句を言う店長のところにヘルプが優先的に回り、黙々と頑張る現場ほど後回しにされる。
「我慢している現場」が、いちばん損をする。これが、薬剤師の有給が取れない構造的な理由のひとつです。
取れない理由②|管理職が穴埋めする慣習(係長以上が犠牲になる)
人員が足りない時、誰がそのシワ寄せを受けるか。答えはシンプルです。管理職、つまり係長・店長クラスです。
「お前が責任者だろ」「最後の砦は管理職だよね」
そんな空気の中で、自分の休みを削って現場に立つ。私自身、12連勤になったのはまさにこの理由でした。シフトに穴が開く→誰も埋められない→じゃあ自分が出るしかない。それを続けた結果が、週6・12連勤です。
しかも厄介なのは、管理職は「労働時間の自己管理ができる立場」とみなされやすく、長時間労働が問題視されにくいということ。いやいや、月4休で12連勤の自己管理って何ですか、と。
「責任ある立場だから」と都合よく使われ、有給も休日も削られていく。これが2つ目の構造的な理由です。
取れない理由③|「取らせてあげられなくてごめん」という上司の責任転嫁
これは、本当に忘れられない一言です。
年度末が近づき、私の有給取得日数や年間公休消化が、規定よりも10日近く足りていない状態でした。そんな時、上司から電話がかかってきます。
「悪いな、今年も有給取らせてあげられなくて。来年こそはちゃんと取れるようにするから」
——ふざけるな、と思いました。
「取らせてあげられない」という言い回しに、すべてが凝縮されています。まるで休みは「上司が恵んでくれるもの」みたいな言い方ですが、有給は労働者の権利です。 上司が「あげる」ものではない。
そして、取れなかった本当の原因は何か。それは、上司がヘルプを出さなかったからです。自分の管轄でやりくりすべき人員配置を放棄しておいて、最後に「ごめんね」で済ませる。これは謝罪のフリをした責任転嫁にほかなりません。
非エンジニアの方にもわかりやすく言うなら、こうです。「自分の仕事をサボった上司が、しわ寄せを受けた部下に『大変だったね』と慰めて終わり」——そんな構図が、薬剤師の現場では普通に起きています。
取れない理由④|上司のダブルスタンダード(自店都合では拒否、他店都合では要求)
そして極めつけはこれです。
うちの店舗が人手不足でヘルプを依頼した時は「無理」と言うくせに、他店舗が人手不足になった時には、当たり前のようにこう言ってきます。
「来週、◯◯店にヘルプ出してくれない?人足りてないらしいから」
——いやいや、こっちも足りてないんですけど??
要するに、上司にとっては「自分が判断したくない案件」は無視するけれど、「他の管理職に貸しを作れる案件」には積極的に動く。これは完全なダブルスタンダードです。現場で必死にシフトを回している側からすると、「結局、自分の保身と都合でしか動いてないじゃないか」と感じざるを得ません。
そして、こうした構造の中で疲弊していくのは、いつも現場の薬剤師なのです。
健康・キャリアへの影響|「がんばり続けた先」に何が待っているか
週6・12連勤・有給ゼロ、という生活を続けていると、確実に体と心に来ます。
心身への負担
- 慢性的な疲労、寝ても抜けないだるさ
- 集中力の低下(薬剤師にとって、これは患者さんの安全に直結するリスクです)
- 胃腸の不調、頭痛、不眠
- メンタル面の落ち込み、休職リスク
家族・プライベートの犠牲
- 子どもの行事に参加できない
- 親の通院に付き添えない
- 友人関係の希薄化
- パートナーとの関係悪化
長期的なパフォーマンス低下
- 疲れ切っていると、勉強や資格取得の時間が取れない
- 結果、長期的なキャリアアップのチャンスも逃す
- 「目の前の穴埋め」に人生のリソースを全部使ってしまう
特に怖いのは、この働き方を「自分が悪いんだ」「自分の頑張りが足りないんだ」と思い込んでしまうことです。違います。これは構造の問題です。あなたの能力や根性の問題ではありません。
取り戻すための行動|まずは「権利」を再確認することから
「じゃあどうすればいいの?」という話を、現役の係長としてお伝えします。
1. 有給取得は法的権利であると再認識する
労働基準法では、有給休暇のうち年5日は会社側に取得させる義務があります(2019年4月から)。「取らせてあげられない」は本来、会社の法令違反リスクを意味する言葉です。
2. 取得実績・労働実績を記録に残す
- 自分の出勤日、休んだ日、ヘルプ依頼の有無をメモしておく
- 上司とのやり取り(「今は出せない」と言われた経緯など)も日付付きで残す
- これは、いざという時の自分を守る材料になります
3. 改善要望は「個人の感情」ではなく「事実ベース」で伝える
「つらいです」よりも「過去6か月で休日が規定よりX日少ない」という伝え方のほうが、上司・本部に届きやすいです。
4. 改善されないなら、環境を変えるのも立派な選択
ここが本記事で一番伝えたい部分です。
「我慢して続ける」ことが正解ではありません。構造的に休めない職場で、あなた一人が頑張っても変わらないことが多いのが現実です。であれば、「休める職場に移る」という選択肢を、ちゃんとテーブルに乗せていい。
転職は逃げではなく、自分のキャリアと健康を守るための合理的な判断です。
転職市場で「休める職場」を見極めるポイント
では、実際に転職を考えた時、どうやって「休める職場」を見極めればいいのか。私が現役係長として、求人を見たり、転職してきた同僚から話を聞いたりして得た「見極めポイント」をまとめます。
ポイント①|求人票の「有給取得率」表記をチェック
- 「有給取得率◯%」「平均取得日数◯日」が明記されている求人は、比較的健全
- 逆に「有給あり」とだけ書かれていて具体的数字がない求人は、要注意
- 「年間休日120日以上」も一つの目安(薬剤師業界では十分に高水準)
ポイント②|面接での質問テクニック
そのまま「休めますか?」と聞いても建前しか返ってきません。こう聞いてみてください。
- 「直近1年で、現場の薬剤師さんは平均何日くらい有給を取られていますか?」
- 「人員に欠員が出た時、本部からのヘルプ体制はどうなっていますか?」
- 「管理薬剤師の方の月平均残業時間はどのくらいですか?」
具体的な数字を聞いた時に口ごもる会社は、たいてい運用が雑です。
ポイント③|実態を知る方法
- 口コミサイト(複数を必ず横断比較する)
- 転職エージェント経由でのリアル情報収集(エージェントは内部事情を知っていることが多い)
- 可能なら、その職場で働いている人・辞めた人の声を直接聞く
特に転職エージェントは、求人票には載らない「実際の有給取得状況」「退職率」「残業実態」を教えてくれることがあります。自分一人で求人サイトとにらめっこするより、はるかに早くて正確です。
まとめ|「休めない」は、あなたのせいじゃない
最後に、もう一度伝えさせてください。
- 週6勤務、12連勤、有給ゼロ——これらは、あなたの努力不足ではありません
- 人員配置を放棄する上司、構造を放置する会社の問題です
- 「取らせてあげられなくてごめん」と言う上司は、自分の責任を棚上げしているだけです
- 有給は、上司が恵んでくれるものではなく、あなたの権利です
- 我慢を続けるか、環境を変えるかは、あなたが選んでいい
私自身、係長という立場で現場を支えながら、何度も「このままでいいのか」と自問してきました。そして、同じように悩む薬剤師の方に伝えたい。
「休める職場」は、ちゃんと存在します。ただ、いまの職場の中だけ見ていると、それが見えなくなってしまうのです。
転職を即決する必要はありません。ただ、「自分にはどんな選択肢があるのか」を知ることだけでも、心がだいぶ軽くなります。求人を眺めてみる、エージェントに無料相談してみる——それだけで、見える景色が変わります。
あなたの健康と人生は、あなた自身のものです。どうか、自分を大切にする選択を。
※本記事の体験談は運営者個人のものです。会社・店舗・人物の固有情報は伏せています。